医療機器の処分方法で悩まれている人はいませんか。病院で利用されている医療機器は、感染症対策が必要です。自治体が行うごみの回収で出されると、回収者が病気に感染するかもしれません。感染が広がれば一大事です。
今の時代、感染を広げたとなればSNSで瞬時に拡散されます。病院の信用問題にもなりかねません。また、化学物質や有害物質が含まれている医療機器もたくさんあります。医療機器は適切な処分方法で対処しなければ、法律で罰せられるかもしれません。
そこで今回は、医療機器の処分方法について解説をします。病院の機材を安く捨てる方法と合わせて参考にしてください。
目次
医療機器の処分は産業廃棄物扱い
病院からでる医療機器の処分は、産業廃棄物として分類されます。産業廃棄物なので、自治体による処分は行えません。家庭ごみや粗大ごみ(大型ごみ)として出さず、専門業者に引き取りを依頼します。
医療機器を処分するときの種類
医療機器は産業廃棄物として一括処分はできません。「非感染性医療機器」と「感染性医療機器」に分別し、処分先が異なります。分類方法は次のとおりです。
分類方法
- 感染性病原体が含まれている、もしくは付着している医療機器:感染性医療機器
- 上記以外の医療機器:非感染性医療機器
例えば血液など体液が付着している鋭利なものは、すべて感染性医療機器です。感染症病床や手術室、緊急外来室や集中治療室などで使用されたものも該当します。感染症法の一種、二種、三種の感染症やインフルエンザなどの治療で検査に使用されたものも該当します。
感染リスクが生じる医療機器はすべて感染性医療機器として適切に処分をしなければいけません。処分を間違えれば、感染を広める可能性もあります。「間違えた」では済まない問題です。
医療機器の種類ごとの処分方法
医療機器の処分方法は、「産業廃棄物」と「特別管理産業廃棄物」の2つに分類されます。
- 感染性医療機器:特別管理産業廃棄物に分類
- 非感染性医療機器で廃棄物処理法指定有害物質や特定化学物質(水銀や鉛など)が含まれている医療機器:特別管理産業廃棄物に分類
- 上記以外の非感染性医療機器:産業廃棄物に分類
産業廃棄物や特別管理産業廃棄物は、都道府県知事又は政令市長の許可した業者に依頼をしなければいけません。許可区分は次のとおりです。
許可区分
- 産業廃棄物:産業廃棄物収集運搬業、産業廃棄物処分業
- 特別管理産業廃棄物:特別管理産業廃棄物運搬業、特別管理産業廃棄物処分業
感染性医療機器を処分する場合は、業者の処分事業範囲を確認してから依頼をしなければいけません。許可証の写しを確認し、取り扱うことのできる廃棄物の種類を確認します。病院で分別をし、排出されるまで確実に保管しなければいけません。
医療機器を処分する方法
病院は感染症廃棄物を正しく処分するため、特別管理産業廃棄物管理責任者を配置しなければいけません。具体的なマニュアルを作成し、処分する医療機器の分別を確実に行います。非感染性医療機器であっても適切に処分されなければいけません。
特別管理産業廃棄物の医療機器を処分するときの流れを解説します。
- 特別管理産業廃棄物運搬業者と特別管理産業廃棄物処分業者へ委託契約を行う
- 感染性医療機器を特別管理産業廃棄物運搬業者へ渡す際にマニフェストを作成し交付する
- 特別管理産業廃棄物運搬業者から、特別管理産業廃棄物処分業者へ運搬される
- 特別管理産業廃棄物処分業者が最終処分をする
- 中間処理と最終処分が完了したマニフェストを受け取る
- マニフェストに関し、都道府県知事へ報告書を作成する
最後まで適切に医療機器が処分されたか、マニフェストにより確認します。マニフェストで確認できないときは、確認が取れるまで対処をしなければいけません。また、マニフェストは5年間の保存期間があります。
マニフェスト
- 管理票控えマニフェスト
- 運搬終了マニフェスト(特別管理産業廃棄物運搬業者から受け取る)
- 中間処理終了票マニフェスト(特別管理産業廃棄物処分業者から受け取る)
- 最終処分終了票マニフェスト(特別管理産業廃棄物処分業者から受け取る)
上記のマニフェストにより、正しく処分された事実を保管します。特別管理産業廃棄物運搬業者や特別管理産業廃棄物処分業者と契約した際の委託契約書も5年保存です。
病院が医療機器を直接処分する以外の方法
先ほどは、医療機器を直接処分する方法を解説しました。ただ大型医療機器に関しては、別の処分先も検討できます。状況に応じて次の業者へ引き渡す方法も検討をしましょう。
業者へ引き渡す方法
- 大型医療機器販売業者への交換や引き取り
- メーカー直系の販売業者への交換や引き取り
- リース販売業者へのリースアップ
- 大型医療機器賃貸業者への引き取り
故障により廃棄する場合は、新たな医療機器が必要です。新たな医療機器を購入する際に処分する医療機器を引き取ってもらう方法があります。ただし、大型医療機器の処分を代行する行為は、禁止されているので注意をしましょう。所有権を移転し、マニフェストの発行する責任者の所在を明確にしなければいけません。
病院の機材を安く捨てる方法としては、引き取りがおすすめです。ただし所有権の移転をせず、引き取り先が発行したマニフェストの保存だけをするのは間違っています。「結果は同じ、適切に処分されているから問題ない」と考えてはいけません。法を遵守することも病院の責務です。
病院の機材を安く処分する方法は買取業者への売却
買取りなので安く捨てる方法とは言いにくいですが、最近は大型医療機器を買取業者へ売却する病院も増えています。以前は感染に関する安全性のリスクで避けられていました。しかし病院の廃棄物処理の社会問題を受け、だんだんと見直されています。大型医療機器を買取りする業者が増えたことから、処分ではない選択肢が選べるようになりました。
また大型医療機器は、壊れていても無料引き取りをする業者が増えています。産業廃棄物として処分をすればコストがかかりますが、引き渡せれば無料です。大型医療機器に関しては、捨てるのではなく売却を検討しましょう。
医療機器を処分する方法まとめ
医療機器を処分する方法について解説をしました。最後にまとめます。
ココがポイント
- 医療機器の処分は「非感染性医療機器」と「感染性医療機器」に分けられる
- 医療機器は「産業廃棄物」と「特別管理産業廃棄物」の2つの処分方法に分かれる
- 病院が医療機器を処分するときは許可を受けた業者と委託契約をし、マニフェストを作成し引き渡す
- 委託した医療機器の適正処分はマニフェストで報告を受け5年間保存する
- 病院が直接処分をしない場合は所有権の移転を必ず行う
- 大型医療機器の処分コストを削減するには売却がおすすめ
コロナにより医療機器の廃棄物が増加をしています。たとえミスであっても適切に処分されなかったことが公になると、SNSで一斉に叩かれるかもしれません。注目が集まっている業界なだけに、正しい処分方法を実践するべきです。
「特別管理産業廃棄物管理責任者を誰が担っているの?」と言った声が聞かれる病院もあります。医療機器の処分方法は、病院全体で責任をもって行うべきです。